お父さんの電子工作

ソフトウェアエンジニアの父が電子工作にチャレンジ

なぜモータードライバーICが必要なのか

ここで使っているモータドライバーIC 7291Pは、ピンがたくさんあって配線がとても面倒です。もっと簡単にできないのかと思い、いろいろ調べてみました。

大きな電流を流すには

ICの出力をそのままモータにつないでもモータは動きません。
ICのピンからはたくさんの電流を流せないからです。

で、こういうときはトランジスタを使って大電流を流せるようにするというのが定番です。ICで発光ダイオードをたくさん点灯させる例ではよくトランジスタを使っています。

ところが、モータは発光ダイオードとは桁違いに電流が必要になるらしく、定番のFA-130モータでは、通常500mA、最大2Aの電流が流れるそうです。LEDは1個10mAぐらいでしたから、LED 50個~2,000個分です。

トランジスタは1個で、元の電流の10~数百倍の電流を流せますが、トランジスタで定番と言われている2SC1815では最大電流は150mAのようです。

もっとたくさん電流を流せるものを探すと、一番簡単なのがパワーMOS-FETのようです。原理はさておき、トランジスタとまったく同じように使えて、2A以上流すことができます。

逆起電流をどうする

モータに使われているようなコイルは、急に電流を流すのを止めるとこれまでとは逆方向に電圧がかかる性質があります。これを逆起電圧といいます。
小さな電圧であればそれほど問題はないのですが、中には大きな電圧がかかってしまい、トランジスタMOS-FETを壊してしまうことがあります。

これを防止するためにモータとは逆にダイオードをつけて、逆向きに流れる電流はダイオードを通って消費されるようにします。

流れる電流を逆にする(前進、後退)

モータに流れる電流のプラスマイナスを逆にすると、逆回転します。
電流を増幅する回路で逆回転させるには、電流が逆にも流れる回路を作らないといけません。
トランジスタMOS-FETは片方向にしか電流を流せないので、逆にするにはちょっとした工夫が必要になります。

それを解決したのがH型フルブリッジという回路です(すみません。詳しくはネットで調べてください)。

モータへ電流を送る方だけでなく、戻ってくる方にもトランジスタMOS-FETをつけます。
これを2セット作ると逆回転もできる回路になります。

さっきの逆起電流のダイオードもつけると下のような複雑な回路になります。


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モータドライバーIC TA7291Pのブロック図より

モータドライバーICは便利

これをモータ1つにつき1つ作らないと行けないので、MOS-FETとダイオードがモータの数×4必要になり回路が面倒になります。
モータドライバーICはこれを1つでやってくれるのでとても便利なのです。
またTA7291Pには、大電流を防ぐ回路や高温になったら止まる回路といった安全装置もついていて、設計者は余計なことを気にしなくてもすみます。

モータドライバーICの選び方

大きな電流を流せるかが一番大事なので、使いたいモータの最大電流を上回るICを選ぶ必要があります。
後は、スピード調節の機能など、どんな機能が必要になるかを選ぶとよいと思います。
ただ、入手できるICはそんなに多くないので、入手選べるものの中で最適なものを選ぶといいと思います。

トランジスタを使ったICでは電圧降下が大きい

TA7291Pでは、モータ用の電源から1~2Vほど低い電圧しかモータに流れません。
途中のトランジスタなどで電圧が下がってしまうのです。ですから3Vの電圧だとFA-130のようなモータを使うにはやや不足気味で、5Vぐらいの電圧を用意した方がいいようです。
MOS-FETを使うと電圧降下が小さくなるようで、MOS-FETを使ったモータドライバーICもあるようです。